静岡大学サスティナビリティセンター

つくる責任、つかう責任 産業と技術革新の基盤を作ろう
2023.08.03

植物材料と自動車

西村 拓也(静岡大学/特任教授)

取り組みの概要

 植物で自動車を作る。植物の可能性を信じて様々な植物材料開発に取り組んでいます。

 我々が暮らす生活環境の中で植物はとても安定した物質です。また太陽と水と二酸化炭素で作られる植物は持続可能な資源です。自動車のような工業材料に植物を使う場合、大量生産に適した品質安定性、全世界の様々な環境に適用できる材料性能が要求されます。

 これまで開発した材料の一つとして、森の間伐材を繊維化し、これでプラスチックを補強した射出材料があります。熱に対する植物の強さを利用しランプブラケットやハーネスプロテクターなどの自動車部品に使われています。近年は、植物由来の次世代素材であるセルロースナノファイバーを活用した材料にも取り組んでいます。

 さらに、植物材料開発を進めるうえでリサイクルできることを強く意識しています。二酸化炭素を固定した植物材料をサイクルしながら長く使えるようにすること。さらに森では木を伐って使うだけでなく、植えることをする。これにより、二酸化炭素を吸収しながら木は育ち、皆が使う材料には二酸化炭素を固定し、長く使う。このサイクルを回すことで、微力ながら地球環境に貢献したいと考えています。